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皆さんこんにちは!
有限会社品川組、更新担当の中西です。
いつもガス配管講座をご愛読いただき、ありがとうございます。
目次
今回は、既設配管の老朽化対策として注目される「レトロフィット工法」を中心に、更新技術のポイントや工事手順、コスト・工程管理のコツを詳しく解説します。新設と異なり、稼働中の施設や限られたスペースで行う改修工事だからこそ求められるノウハウを押さえましょう。
定義と目的
レトロフィット工法は、既存のガス配管を一度撤去せずに、内部から新しい管を挿入(インサーション)したり、既存管内にライナー(内張り管)を施工することで更新する技術です。
施設の稼働を極力止めず、配管交換によるダウンタイムや廃棄物発生を最小化することを目的とします。
主な工法の種類
スリップライニング工法:既存管内に新管(PE管など)を挿入し、両端で継手接続する方法。
カタリティックライニング工法:化学反応を利用して既存管内に防食・補強層を形成する内面コーティング技術。
パイプインパイプ工法:既存管の内側に細径の更新管を通し、スペースに応じて複数本の細管で対応。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ダウンタイム | 稼働停止時間が最小限。夜間・休日工事で影響を抑制。 | 既存管内の障害(曲がり、スケール付着)によっては施工困難。 |
廃棄物・コスト | 既存管の撤去・廃棄が不要で、廃棄コストと工期を削減。 | 新設管材費用や特殊ライニング材料費が高額になる場合がある。 |
安全性・耐久性 | 内面コーティングで腐食を防止し、寿命を延長。PE管挿入で耐震性・耐圧性向上。 | 内面の厚みや継手部の強度管理が必要。既存管の状態によっては保証が限定的。 |
施工スペース | 狭小スペースでも更新可能。配管ダクトや床下空間を有効活用。 | 挿入・ライニング用の機材搬入スペースが必要。 |
既存管内調査
CCTV(内視鏡カメラ)調査で管内状態を可視化。曲がり、スケール、詰まり箇所をマッピング。
圧力試験・漏れ検査で管路の健全度を評価し、工法選定の根拠とする。
ルート計画と機材配置
挿入方向、引き戻しルート、ライニング剤注入ポイントを詳細に設計。
工事車両や機材(引き込み装置、ポンプ、ミキサー)の搬入経路と据付位置を確保。
既存管入口・出口の開口
管口を切断し、バリ取りと清掃を実施。接続部の錆や汚泥を除去。
内部清掃・研磨
高圧水洗浄やブラッシングで内面の付着物を除去。必要に応じてケミカル洗浄も実施。
ライニング材注入または新管挿入
カタリティックライニングでは、内面コーティング材を圧送し、硬化時間を管理。
スリップライニングでは、PE管を油圧ジャッキで押し込むか引き込む。摩擦熱管理と冷却を行う。
継手・バルブ接続
既存管と新管の継手部は溶接またはフランジ接続し、シールテープやガスケットで気密を確保。
耐圧・漏れ試験
規定圧力で30分以上の耐圧試験を実施し、全継手部をガス検知器でスキャン。漏れゼロを確認。
復旧・復旧後清掃
切断部の補修、周辺土木・舗装の復旧、内部洗浄水の排水処理を行い、現場を原状回復。
検査チェックリスト:各工程の完了基準と検査項目をチェックリスト化し、担当者が押印。
写真・動画記録:内視鏡調査、施工中、試験結果を時系列で記録し、報告書に添付。
保証書発行:工法別の保証期間(内面コーティングは5~10年、PE管挿入は15~20年)を明示し、保証書を発行。
工程短縮
並行工程の導入(清掃と調査を同時進行)や夜間工事の活用で、施設稼働への影響を最小化。
コスト最適化
材料ロス削減のため、必要最小限のライニング材量を計算。大型案件は一括仕入れで材料単価を抑制。
安全管理
有害ガス発生リスクに備え、局所排気装置とガス検知器を常設。作業員には呼吸用保護具を着用。
コミュニケーション
施設管理者、他設備業者、施工チームとの定例ミーティングで進捗と課題を共有。変更事項はすぐに図面に反映。
次回第5回では、「スマートメンテナンス:IoTとAIを活用したガス配管遠隔監視システム」をテーマに、
センサー設置とデータ収集方法
AIによる劣化予測モデルの構築
遠隔アラートとメンテナンス自動化
など、次世代の配管保全技術をご紹介します。どうぞお楽しみに!
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